絵の専門学校を決めるときのポイント

絵の専門学校を決めるときのポイント

絵の専門学校に進みたい場合の注意点を書いて見たいと思います。
絵の専門学校に進むのはほとんどが高校3年生だと思います。
また少数ながらも社会人から専門学校に入学する方もいらっしゃるでしょう。

高校生の場合は社会人経験が少ないせいもあり職業としての絵のことについて分からない場合もあると思います。

ですので学校を選ぶ基準が設備にばかり目がいってしまいがちであったり、または雰囲気を重視する傾向になるでしょう。

しかし、やはりそこは職業訓練という目線で考えるべきなのです。

では、そのために専門学校を選ぶポイントを解説していきたいと思います。

まずは専門学校の種類を知ろう

絵の専門学校と思っているけど専門学校では無いところもある?

専門学校は国の文部科学省から指定された条件がありそれを満たして専門学校と認められているのです。
例えば年間授業時間が800時間必要であったり、修学年限が1年以上、また学生数が40人以上必要という条件があるのです。

ですが、絵の学校は多彩であったり専門性の高さからこの範囲に収まらない学校もあり専門学校ではない学校も存在するのです。

ですが、そういったところも視野に入れて検討するのも1つの方法です。

まずは専門学校を卒業してどんな職業につけるのかを確認しよう。
専門学校に通う理由は大半は就職のためであったり、またはフリーで活躍するために行ったりする場合がほとんどでしょう。

そのためどんな職業につけるのかを確認する必要があります。
学校によっては科の名前もバラバラだし一見2つの職業が混ざっている科名もあったりと複雑です。

そのためその学校にホームページを見たり、パンフレットを見たりしながら確認していく必要があるでしょう。

主な職業

イラストレーター
漫画家
アニメーター
グラフィックデザイナー
画家

などがあります。

大抵は
漫画
アニメ
ゲーム
デザイン関係と別れている場合がほとんどです。

まずはどんな職業につけるのかをしっかりと確認しておきましょう。

修学年数を確認しよう

修学年数は専門学校であれば2年から3年間のところがほとんどでしょう。

そのどちらかを選ぶのは自由ですが、やはり年数が違えば学習内容も異なるし学費も大きく違ってきます。

学習内容が異なる

2年制と3年制ではやはり学習内容が異なります。

2年制では1年時は基礎学習、そして2年次には応用と就職活動になってきます。
3年制では1年次はやはり基礎です。そして2年時には応用、そして3年時には就職活動という風になってきます。

ですので自分のスタイルと予算に合わせて選ぶ必要が出てきます。

2年制の特徴はやはり授業料が安く業界に早くから入ることが出来るので成長が早いというのが長所と言えますし、また2年制を採用している学校が多いのでその選択の幅が広がります。

3年制はじっくり学ぶことで高いスキルを習得できるのが特徴です。
これ以上を求めるなら美大が視野に入ってくるでしょう。

主なカリキュラム

1年次

デッサン

デッサンはやはり基礎中の基礎ですので必ずと言っても良いほどカリキュラムに組まれています。
基本形から静物、人物、風景、細密画などを練習し作品を制作していきます。
就職活動の際にはかなり重要な作品の一角を担うので各学校力を入れているようです。
また、デッサンのカリキュラムのない学校はこの時点で外すのが賢明です。

CG着彩

CG着彩はイラスト系の学科であれば必ずと言って組まれているカリキュラムです。
むしろアナログが無い方が当たり前になってきています。
習得するソフトとしてはPhotoshopやCLIP STUDIOなどが多くなっています。
また漫画家の場合はCLIP STUDIO EXなどでしょう。

イラストレーションの場合はいかにもなCG着彩だけではなく、水彩塗や厚塗りなども学んでいきます。
また業界で使われる複数人で着彩しても分かりやすいレイヤー構成なども学んでいくでしょう。

人体構造、バランス、アタリ

人体はキャラクターを描くには必須のカリキュラムです。
体のバランスからアタリのとり方などを学んでいきます。
また、筋肉やアクションポーズも練習していくことになります。
この人体のカリキュラムはかなりの部分を占めます。

パースペクティブ

遠近法、その中でも1点透視図法、2点透視図法、3点透視図法などがあり、それらを学びます。
こと絵の世界でこのパースペクティブの概念はかならず必要になってくる知識です。
これらを活かすことで立体的なキャラクター、そして説得力のある背景を描くことが出来るようになります。

アナログ画材

現在では少なくなってきましたが、アナログ画材を教えるカリキュラムを持っている学校もあります。
コピックはもちろんのこと本格的なカリキュラムでは水彩や不透明水彩、カラーインクなどを使って着彩していきます。アナログ画材の感覚はデジタルでも活かせるのでなるべくなら経験しておきたいカリキュラムの一つでしょう。

業界知識

イラストレーションであればイラスト業界の知識を学んでいきます。

どういった媒体で使われるのか、また自分のアピールの仕方や仕事の受け方、契約書の読み方などを学んで実践で活かせるようになるのが目標です。

漫画やアニメーションでも同じです。
業界の制作体系であったりどういう風に売り上げを上げてクリエイターに還元されるかを学びます。

漫画では単行本の版権による収入があったり
アニメーターさんであれば出来高制の場合もあるでしょう。

イラスト基礎

イラストがどのように作成されていくのかを学びます。
これは主にイラスト系の学科で組まれますが、学校によっては漫画やアニメーションなどの学科でも教えることが多いでしょう。
デジタルイラストレーションの作り方を学んでいく場合が多いです。

イラスト実践

イラストの作り方を実践して学んでいきます。
ラフ画作成から下絵作成、そしてペン入れした後に着彩を行っていきます。
各工程で講師のチェックを受けリテイクを受けたら修正して一枚絵を完成させていきます。

色彩学

色彩学を学ぶのはイラストレーションや色彩にかかわる職業に就く学科に多いです。
基本的には色彩検定を受けるカリキュラムになることが多く、色彩検定を目指すことになるでしょう。

構図

構図は絵をデザインする職業であれば必須の知識になります。
基本的な構図の種類を学び、それを自分の絵に落とし込んでいく作業を行っていくことになります。
また、カメラなどを使って切り取り方の練習を行うところもあるようです。

学科ごとのカリキュラム

漫画であればトーンの貼り方やベタの塗り方、効果線の引き方など専門的なものを学んでいくでしょう。

アニメーターであれば歩きや走りなどの基礎的な動きから普段の何気ない動作、物体の動きなど様々なアニメーションを学んで行きます。

2年次 応用

応用になってくると基礎をベースに実践的な応用を学んでいきます。
実践的なので作品制作としての時間も増えていくでしょう。
ここで就職作品を作ることになるのがほとんどです。

人体応用

人体もやはり応用分野に入ります。
例えば決めポーズではない自然体の動作を学んだり座っているポーズや寝ているポーズなど、またはパースをつけた人物や複数人を同時に描いたりすることもあるでしょう。

着彩応用

着彩も基本的なCG着彩、アナログ着彩だけではなく。

流行りの着彩方法を自分なりに研究して塗り方を覚えることもあるでしょう。
また、業界の着彩方法で着彩する方法を学んだりします。

就職用イラスト作成

イラストレーションの学科では就職用の1枚絵を作成していきます。
これは目指している業界の作風や、または自分のオリジナルの作風を追及していく場合などその学習方法は多岐に渡ります。
イラストレーションの学科であればSNSにUPしたりなどしているところもあるでしょう。

漫画であればもちろん漫画作成、アニメーションであればポートフォリオに入れるためのアニメーションや1枚絵作成などを行っていくことになります。

社会人マナー

社会人になるためのマナーも学んでいくことが多いでしょう。
これは就職活動に必要なのはもちろんのこと、就職してから社会人と話していくためには必ず必要なスキルになるからです。
電話のとり方や名刺の渡し方、またメールの書き方なども学んでいきます。
また就職活動を前提としているために髪型やスーツの服装についても規定を設けているところがほとんどです。

実際には就職系は堅実に、漫画などのデビュー系は服装などはこだわらない場合もあります。

このように学校ごとに様々なカリキュラムが組まれています。

大抵はホームページやパンフレットに載っているので見てみるのが良いでしょう。
ですがおそらく題名だけで中身の説明が無い場合がほとんどです。
気になるカリキュラムや中身が不明、もしくは曖昧な場合は学校に問い合わせて内容をしっかりと把握しておきましょう。

就職実績を把握しよう

行こうとしている専門学校がしっかりと就職に結び付けてくれるかが一番のポイントになると思います。
そのために就職実績を把握することは必ずやっておいた方が良いです。

今年の就職状況を確認する

学校によっては今年の就職実績、もしくは去年の就職実績を公開しているところもあれば今までのまとめとしての就職実績を公開しているところもあります。

今までの就職実績の方が数が多くアピールしやすいためです。

ですが、惑わされないでください。
大切なのは今年と去年の就職実績です。
間近の方がその学校の実力を測るには適しています。

就職活動が始まっていない時期であれば昨年の就職実績を確認しましょう。
オープンキャンパスに直接出向くか、またはメールや電話で直接問い合わせても良いです。

大事なのはパーセンテージなどの割合です

大人数の学校はやはり就職する人数が増えるのが自然で、少人数であれば就職する人数はやはり減少するのが自然です。
ですのでパーセンテージで考えると正確にその学校の実力が測れることになります。

例えば10人のクラスで2人合格しているよりも2人のクラスで2人合格している学校の方がパーセンテージは良いことになります。

就職先は難易度で見る

就職先は大手、もしくは有名で競争率が高い所であるか確認しましょう。

誰でも入れるところであればそれは外したり重要度を下げる必要が出てきます。
業界ではいわゆる誰でも入れるようなブラックとも呼べるところも存在するのです。

こういうのはなかなか素人目には分からない場合もありますが、有名な企業であればある程度は想像できるはずです。
珍しい所では企業名を検索してどういうところか調べたほうが無難でしょう。

もちろん難易度が高いところに多く受かっている学校であれば優秀と言える確率は高まります。

学費がどのように使われているのか確認しよう

学費は高い所もあれば比較的リーズナブルなところなど様々です。
しかし、年間100万円以上などやはり金額的には高くなります。
あまりに高い所だと選択肢から外す必要さえ出てくるでしょう。
高校生であれば実際にどの程度の価値か見当がつかないかもしれませんし、親御さんが支払うケースも多いでしょう。
しかしやはり学費は一番悩む要素でもあります。

学費が高い場合はなにかしら高い理由があるはずです。
または安い場合は何かしら安い理由が見つかるはずです。

例えば設備投資

学費が高ければ設備が良い場合がほとんどでしょう。
液晶ペンタブレットが使われていたり、一人一人にタブレットが支給されるかもしれません。
または校舎などが新しかったりします。

先生が有名人

先生に投資をしている学校もあるでしょう。
教えてくれる先生が業界で活躍している人がいるなどです。
ですが、この場合は年に数回などの場合もあるのでしっかりとその実態を把握しておいた方が良いです。
中には有名人の名前だけ借りているところもあるはずです。

ブランド力がある

ブランドがある学校ではやはり学費も高くなる傾向にあります。
それは長い歴史であったり実績がある学校の場合が多いでしょう。
その場合業界とのパイプを持っていたりする場合もあります。

しかしやはり一番大切なのは設備ではない

絵の実力は設備ではありません。技術で測られるのです。
やはり絵が上手い人は最低限の機材でも一流の絵を描きますし、絵が下手な人はいくら高額で高性能な環境を使ったとしてもヘタイものはヘタイのです。
ですので学費がどのように使われていて、例えばそこまで設備が必要ないと考えたらそこを削るのも一つの考え方でしょう。

一番大切なのは教えてくれる先生

一番は教えてくれる先生で選ぶのが間違いありません。
なぜなら絵は技術なので機材ではなく、人、なんですね。
ですので先生がしっかりしていないとまったく意味をなさないのです。
実際に学校を決める際にじかに先生に会って話を聞いたり実績を聞いたり、もしくは作品を見せてもらうなどしておいた方が良いでしょう。
そのために数回オープンキャンパスなどに参加するのも良い方法です。

良い先生の特徴

生徒の相談によく乗ってくれる
入学していない人の相談に乗るのは当たり前です。そりゃ入学者数が学校は欲しいので当然と言えるでしょう。
しかし、一番大事なのは入学した生徒にしっかりと対応していることです。
入学したらそれでおしまいな先生は良くない先生の特徴です。
それを確認するにはオープンキャンパスなどで実際に生徒に聞いて確認するのが良いでしょう。

的確にアドバイスできるだけの業界知識と経験がある

長年業界に携わっていてまた、先生としてのキャリアもある程度あったほうが確率的には良い指導を受けられるチャンスがあるということになります。
若い先生などは人気がありますが、業界経験が浅い場合もあるので注意が必要です。
実際に会って色々と業界の分からない部分を質問してみるのも良い方法です。
そこでシドロモドロになったりする場合は要注意です。
出来れば先生を何年やっているのかの確認もした方が良いでしょう。
若い先生の場合は情熱で補っている人もいますので、その情熱を買ってみるのも良い場合もあります。

学生の質もチェック

オープンキャンパスなどでは学生と直接話せる場合もあるでしょう。
学校に入って後悔していないかもしっかり聞いておく必要があります。
出来れば先生がいない時に聞くのがベターですよ。
そして学生の実力もチェックしましょう。
大抵は上手い人がオープンキャンパスに来ていますのでそれ以外の学生の実力もどうなのか聞いておく方が良いです。
文化祭などに参加すると絵が飾ってあったり、生徒とも話せる機会が多いのでぜひ活用すべきだと思います。
自分の先輩になるかもしれない人たちですからね。

営業には気をつけろ

学校には生徒を確保するための営業さんがいるのが普通です。
資料の問い合わせオープンキャンパスなどに参加すると営業をかけられます。
高校3年生であれば社会人経験が少ないのであっさりと説得させられてしまう人が多いです。
ですが、実際に営業の人は入学者数という数字が欲しいのです。
ですのであの手この手で入学させようとしてきます。
自分の人生がかかっているので安易に信用したりせず、冷静な視線で見ていく必要があります。
複数の学校のオープンキャンパスに参加するやはりそれだけ営業をかけられることになります。

自分が納得できなければ毅然とした態度でNOを言うことも必要ですし、何より親御さんと相談して決めていくのが一番です。
オープンキャンパスも親御さんと参加していくのが良いと思います。

奨学金はちょっと待て

授業料が用意できない場合奨学金などを借りる場合もあるでしょう。
しかし、それは返済が必要な場合があったりする奨学金が日本では多いです。
ですので安易にお金を借りるのはちょっと考えたほうが良いです。

営業の人はなるべく早く生徒を確保したいがためにせかしてくる場合がほとんどです。
ですが焦らされてもじっくりと考えたほうが良いのです。

奨学金返済のためにアルバイトをする場合

奨学金返済のためにアルバイトをする人も多いでしょう。

ですが専門学校は大学のように長期なわけではないので短期決戦になりがちです。
そのためアルバイトなどで時間を取られると学業に影響したり就職率に影響するのが自然です。
出来ればアルバイトは在学中はしないほうが有利なのを覚えておきましょう。
お金を借りるだけ借りて就職できないと大変ですからね。

無理な借金は気をつける

就職率やデビュー率、もしくは働けても低収入な業界の場合はそれだけ返済に負担がかかることは必至です。
下手をしたら親を頼らざる負えなくなる場合もあるかもしれません。

ここまで書いてきましたが、専門学校は人生を決めるうえでも大きな選択肢となるでしょう。
そしてその内容や種類も様々です。
ですが、その道に行くと決めている人にとっては悩ましい選択ともなりえます。
ここに書いてあることは最低限は確かめてから決めて欲しいと思います。
その方が後悔も少ないでしょう。

まとめ

やはり若い人であれば学校の綺麗さや設備が良いとそちらの方に目移りしてしまう人が多いと思います。

しかし、設備はしょせん設備なのです外見に惑わされずしっかりと中身で決めるべきなのです。
そのためには授業の内容や先生の良しあしがポイントとなってきます。
そこをしっかりと確認しないで入学するのはギャンブルをやっているのと同じです。
オープンキャンパスに行ってそこら辺をしっかりと確認してきてください。
出来れば教えてくれる先生と直に合って話を聞くのが一番ですよ。
逆に教えてくれる先生に会えない学校はちょっと考える必要があるでしょう。
いずれにしても自分で決めていかなければならないことですが、高校生であれば見分けられないことも多いので出来れば親御さんと一緒にいくつか学校をまわることをお勧めします。

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