絵の中級者を脱却する5つの練習方法

絵の中級者を脱却する5つの練習方法

絵の中級者になってくるとキャラクターも背景もしっかりと描ける人が多くなると思います。
そしてそれなりにイラストも仕上げられるでしょう。

もちろんここまで到達するのは容易なことではありません。
毎日毎日絵を描いて鍛錬しなければここまで来ることは出来ないのです。

しかし、何事も70点まではすんなり行くことも多いと言われています。
つまりここからさらにレベルを上げて行くのは今までの努力の比ではないということ。
ある意味少しの才能が必要になってくる領域でもあります。

これ以上を望む向上心あふれる方に適した練習方法を今回は紹介して行きたいと思います。

日常の何気ない動作を模写する

ある程度イラストが描ける人は大体のキャラクターのポーズは描けてしまいます。
しかし、その多くがカッコいい決めポーズや可愛い定番ポーズなのではないでしょうか?
世の中の多くのゲームや漫画がこの決めポーズを多用していて見ている方もなんとなくカッコイイという感覚になっていると思います。

しかし、さらに上達するには日常の何気ない動作を取り入れて行く必要が出て来るでしょう。
そうすることによってさらにさまざまな動作が描けるようになり、人体を描く上で説得力が増し他者も認める画力を手に入れることが出来ます。

その何気ない動作は世の中に一杯あります。
例えば
疲れて眠そうな会社員が夜の電車の中でウトウトしているシーン。

例えば
早朝の駅のプラットホームでスマホをかったるそうにいじっている中年のサラリーマン。
こんな格好のつかない何気ないシーンも勉強になるのです。

ここで見ていくポイントは
どういう風に脱力しているのか
どういう風に重心がかかっているのか
表情は
脂肪のつき方はどうなのか
服のヨレ具合はどうなのか

見れば見る程勉強になるのです。

人の目を気にしていない瞬間が参考になります。
居間でボリボリ煎餅を食いながらテレビを見ているおばさんであったり…
必死で仕事をしているサラリーマンとか
そういう日常の動作を描ければさらに絵師として一皮向けるでしょう。

レンズの使い分けを意識する

特に構図を考える上で重要なレンズ。
そのレンズの種類とレンズ効果を使用すればイラストにバリエーションを持たせることが可能です。

レンズは焦点距離によって画角が変わる。

レンズは大まかに
広角レンズ
標準レンズ
望遠レンズ
に分けられます。

まずはここを理解する必要があるでしょう。
レンズについて詳しくないのであればここからさらに上達するチャンスでもあります。

広角レンズ

広角レンズとは焦点距離35mm以下のレンズのことで広い範囲を写すことが可能です。

特徴

レンズの歪みが出やすい。
広い範囲を写せる。
パースがつきやすい
などなど

イラストで使用するときは
広い範囲を写せるので風景や建物などの描写に便利です。
また多人数イラストや状況説明にも適しています。

しかし、広角レンズを多用してしまうと人間の見ている画角の風景ではないために違和感を感じてしまいます。
くれぐれも多用には気をつけてください。
広角レンズは若い人ほど好きな画角とも言われています。

標準レンズ

焦点距離50mm前後のレンズのこと。
標準レンズというだけあって人の目の見え方に近い見え方をします。

標準レンズは普段使いにとっても便利なレンズ。
多用しても見え方に違和感がありません。

特徴

人の見え方と同じような画角
パースもそれなりにつく

普段使いなら標準から望遠レンズあたりを使ってあげると良いですね。

望遠レンズ

焦点距離75mm以上のレンズ

遠くの物を引き寄せることが出来る
いわゆる望遠鏡も同じ。

特徴

パースがつきにくい
遠くの物を大きく写し取ることができる

応用

アップで映すことが出来るため注目してほしい被写体を浮き上がらせることが可能
例えばキスシーンや、泣いている表情を見せたり、旅立って行く友人の後ろ姿をアップで映したり。
その使い方はさまざまなです。

それに同じような人の写り方でも背景は画角によってかなり変わるので注意しましょう。
広角レンズの方が背景は広く映り込みますしパースも付きます。

望遠レンズは背景にパースがつかない独特の圧縮構図を使うことができます。
これは映画の1シーンにも多用されるセンスある構図になりがち。
ただしセンスはかなり必要なので望遠レンズは上級者向けのレンズなのです。

練習方法

練習方法はやはり実際にレンズを使ってみるのが一番です。
そのためにはレンズ交換できる一眼レフやミラーレス一眼を使うのが手っ取り早いやり方です。
値段は多少張りますが資料集めに使えたりと持っておくと何かと役にたつでしょう。

そしてレンズも広角から望遠まで揃えると良いですね。
そして実際に自分や周りの物を撮影してその感覚を掴むと良いと思います。

何枚も撮っていると嫌でもその感覚は身についていきますし、カメラのことも詳しくなりそれをイラストに活かすことも出来るようになります。

練習方法とは言えませんが

職場に入る

絵の職場に入るのは一気に上級者になる方法の一つであり間違いなく有効な方法です。

例えば専門学校や美大で絵を描いている人達はもちろん上手い。
しかし、それはあくまでもアマチュアレベルでの上手さです。

そこにはプロから見ると甘えもあり2時間も集中できないような人達がいる浮き足立った空間と言えるでしょう。

そんな空間で訓練していてもやはりその雰囲気はアマチュアになってしまうのでついついこれでいっかという風に引っ張られてしまいがちです。

しかし、そんな空間の人でもいざ絵の職場に入ると一変することになるでしょう。

まず周りの人たちがプロで自分より上手い人たちばかり、それに仕事なのでピリッとした空間でもあります。

まず上司や周りのデザイナーさんに認めて貰うために必死に頑張ります。
それにデザイン画を描いても何回も何回もリテイクを食らうことでしょうし、分からないからと言ってすぐに教えてもらえるわけではありません。
周りも自分の仕事で手一杯ですからね。
それに納期も決まっているので一日中頑張ることになるし集中力も半端なく鍛えられるでしょう。
つまり、この空間こそが上達に必要不可欠な要素がいっぱい詰まっているんですね。
ですので伸びる人は就職してから一気に能力が開花して行くのです。

こればかりは普段いる空間とは別物の異次元ともいうべき空間でしょう。

人に教える

例えば絵が下手で困っている友人に絵を教えたり、もしくは絵の専門学校であれば同級生に教えたりする。

そういう教えるという行為も中級者を脱する良い方法の一つです。
本格的に教えるとなると、その技術を完璧に習得しなければなりませんしまた論理立てて説明できるようになる必要もあります。

つまり教える事柄について分からないところがあると必死に調べてそれを教えようとするのです。
ですので教える事柄についてさらに深く理解できるようになります。
分からないことがあるとちょっと恥ずかしいですからね。

例えば今まで筋肉とか感覚で描いていてそこまで詳しくなかった場合
専門書をもう一度見直し、ここがこういう風につながっているのか、なるほど、こういう風に連動しているんだな。
という風にさらに上達するし、難しくて覚えていなかった筋肉名も覚えられるようになります。人に教えるのに知らなかったら恥ずかしいし、間違ったことを教えるわけにはいきませんからね。

それに人に教えるのも楽しいものですしね。
ぜひ人に教えてみてください。

シャレードを理解する

シャレードとはもともとは脚本で扱われる表現で、言葉で表現せず構図や小道具を使うことで意図的に相手に暗示させることを言います。

と、言ってもなかなか理解できないのもシャレードです。
しかし、これを使うと今までは説明を言葉で頼っていたものを絵で表現できるようになり絵に深みが増していきます。

つまりイラストにおいては言葉を使うわけにはいかない場面が多いので効果的ですし、漫画でもこれを利用するとさすが、とかトンチが効いている。という風になるわけです。

これは例を用いて感覚的に説明するほうが分かりやすいでしょう

例1

付き合っている男女がいるけど忙しくてなかなか会う時間が無い。
しかし、実際には雑踏でお互いすれ違っていたり、同じ場所にいるのに障害物でお互いに気づかない。

→その2人はその後別れる。暗示。

例2

主人公の母親が病室で危篤状態のシーン、次のシーンで
雨の中、母親が大事にしている傘を捨て犬にかけて去っていく主人公。

→言葉では語らないが母親が死んだことを暗示している。

例3

雷の音で目が覚める。
大事に飼っていた猫がいない。

このようにあえて言葉にしないでシーンや絵、小道具を使うことでその後を暗示できるのです。
ぜひ、自分の絵でも表現してみてください。

まとめ

このように中級者を脱する練習方法を紹介してきました。
絵は技術ですので学べば学んだだけ上達していきます。
それは中級者であっても同じことなのです。

そして練習しているうちにある気付きを得てさらに絵が上手くなっていくことでしょう。
今回の練習方法すべてを実践するのは難しいかもしれませんが、今の現状を打破したい人にとっては参考になると思います。

まずはひとつづつでも日頃の練習で使ってみてくださいね。

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