みなさんは絵を学ぶ上で定番というか鉄板のこの書籍をご存じでしょうか。
この本は美術家だけではなく、イラストレーター、アニメーター、漫画家など幅広いクリエイターの入門書になっています。
この著書は1943年に販売されていますのでその歴史はかなり長いものとなりますね。
元の名前は Figure Drawing For All it’s Worth という本になります。
これが日本語訳されているのが今回のやさしい人物画というわけです。
その名の通りやさしいのは元の題名と少しかけ離れているような気がします。
著者アンドリュー・ルーミス氏
この著者A・ルーミス氏は、アメリカのイラストレーターです。
そして多くの美術参考書の著者でもあります。
美術、絵に対しての価値観、など多くの美術家の基本となる入門書を多く作成されています。
解剖学や頭身などの基本的な部分
この本の良いところは、人体のプロポーションの取り方から、人間の解剖学、はたまた重心のバランス、顔、足、衣装の描き方まで、この本だけで人物の描きかたを網羅している点です。
特に筋肉では重要な部分だけを学ぶことが可能であるため、筋肉のような専門書だけでは混乱してしまうこともありますが、この本ではそのようなことはありません。
まず、この本の筋肉を勉強してから本格的に学びたい人だけさらに詳しい筋肉の本を買いと良いでしょう。
絵柄自体はバリバリの欧米人のような感じですが、これを日本人に当てはめて考えればよいのでさほど問題ではないでしょう。
それよりも頭身の取り方や頭身の場所によって何があるのかが分かるのでそこを覚えたほうが良いですね。
また、年齢によっての頭身の変化も書いてあるのはかなり良いと思います。
それに絵は色々なアングルから書かれていたり、写真によっての解説も入っています。
寝ポーズや重心のバランスなど応用的な部分も描かれている
後半に行けば寝ポーズや重心のバランスなどプロでも通用するような応用技術が描かれています。
絵も多く参考にする部分はかなり多いです。
美術や漫画、イラストなど特にジャンルにこだわらず受け入れやすい画風だと思います。
確かにこの本を読めば先人たちの知恵と努力が詰まっていると感じます。
でもこの本はあまり厚くはありませんし、一つの事柄をことさら深く描いているわけではありません。
しかし、初心者であれば最低限身につければプロまで通用する方法を抜き出していると言えます。
つまり、一番重要なところが詰まっているんですね。
私は高校の時に買いました、それまで適当に他の絵のまねでもしてればうまくなるだろうと思っておりましたが、この本を見て価値観が変わりました。
今の自分だけの力では足りず、いかに先人たちが築き上げた技術が必要なのかを理解したのです。
この本の存在をあまり知らない人も多いでしょう、もっと知られていてもいいのにと思うのは私だけでしょうか。
ただやさしくない!
題名にやさしいと描いてありますが、初心者にとっては全然やさしくありません。
おそらく初心者用の本であるのは確かですが、絵なんてそんなに簡単に習得できるものではありません。
また、文字も日本語訳されたものになりますが。重要なことも長文の中にちらほらと入っているので注意深く読み込まなければなかなか分からない部分もあります。
そこは昔の本であること。元はアメリカの本であることを考えれば納得できるでしょう。
というかそのくらいは学ぶので問題はまったくありません。
そこを理解してさえいればこの本は大丈夫です。
最近の軟弱な本と一緒にしては困るという感じですね。
まとめ
この著者はイラストレーターで多くの技術書を書かれている方です。
その内容はまさに仕事をしていくクリエイターの基本となる考え方が身に付く本でもあります。
本気で絵を始めようという方におすすめな本です。
本気で描かないならここまでの知識も考え方も必要ないでしょう。
基礎が重要な美術の分野でひとつの道筋を示してくれる名著であることは間違いありません。
私は購入してよかったと思います、やはり絵を描く上で人の解剖学や頭身、各種ポーズのプロの見解も理解できるので学んでおくべきだと思います。