【書評】こんどこそ!レイヤーの使い方が本当にわかる本のレビュー

イラスト作成ソフトには欠かせないレイヤー機能

背景と線画を分けたり、色を塗り分けたり、合成モードを変更したり、イラストを制作するにはかならずお世話になる機能です。

そんなレイヤーの機能だけに特化した本が出るなんて、最初はとても驚きましたが、確かに初心者にとっては理解が難しい部分であるのは事実です。

本書から学べる6つの項目

1.完成イラストからレイヤー構成を学ぶ

複数の作家さんの完成イラストからどのように着彩しているかその着彩方法が紹介されています。
紹介されている作家さん
おぎのひとし氏
Exe氏
dot氏
珀星ハクル氏
イラストの着彩方法やレイヤーの使い方も個人個人特徴があるものです、ここで紹介されている作家さんにももちろん個性があり、それぞれの塗り方を紹介しています。
まずはオーソドックスで誰でも真似できるレイヤーの使い方から作例が始まります。作例ツールはPhotoshopです。

作例を読んでいくとレイヤーの合成モードや、テクスチャの使い方が分かりやすく紹介されています。

ただ、この段階ではレイヤーの使い方が紹介されているわけではありませんので、初心者は戸惑うと思われます。
そしてSAIの作例に続き、厚塗りのレイヤーの使い方が紹介されています。

2.レイヤーの基本的な使い方

2章はレイヤーの使い方が、とても優しく丁寧に解説されています。
レイヤーの新規作成、結合の仕方、自由変形などレイヤーを使う上で必須の機能が学べます。
イラスト作成ソフト初心者の方でしたら、この解説は非常に分かりやすいですね、私も講師として学生に教えていますがこの手順であればまず理解してもらえます。
作例も豊富で分かりやすいです。

3.合成モード

合成モードは影の着彩や髪のツヤなど様々な光や影の表現の時に用いられます。
最初は言葉の意味するところが分からず苦労しますが(元は写真用の言葉のため)、ソフトを使っているうちにだんだんと理解できるようになります。それば普通の流れだとは思いますが、この本では合成モードの作例と共に紹介されており、作例のイメージでだいたいの感覚をつかむことができます。
そして使用頻度の高い乗算やスクリーンなどの作例に続きます。

4.Photoshopのレイヤー機能

Photoshopの歴史は古く、昔からレイヤーを進化させてきました。
使い勝手の良いレイヤー機能が多く、現在発売されている多くのグラフィックソフトのレイヤー機能の元となっています。
その中でも使いやすい調整レイヤーやレイヤー効果についてこの本で説明しています。
調整レイヤーはほぼすべての作例が載っており、分かりやすいです。
レイヤー効果も一覧として作例が載っていますがページの関係上つっこんだ内容にはなっていないようです。
ですが、ここまで網羅していれば十分でしょう。

5.SAIのレイヤー機能

SAIの特徴的なレイヤー機能といえばペン入れレイヤーです。
一度描いた線を編集でき、曲げたり伸ばしたりすることが可能。
太さまで変えることが出来ます。
これで簡単に綺麗な線、強弱のついた線が描けます。
私が教えている学生でも、ペンタブレットで上手く線が引けない学生には、このぺん入れレイヤーを使うように指示しています。

6. レイヤー機能の応用

絵を描く上での考え方、影を塗る際の色相、ハイライトや照り返し、空気遠近法など実践的な考え方を紹介しています。
特に肌 お影を塗る際の色の変更や合成モードの使い方といった作例から光源による影の着彩などとても参考になります。

まとめ

レイヤー機能が分からない初心者にはかなりおすすめです。
また、ある程度レイヤー機能を理解しているユーザーに最初の章は退屈かもしれませんが、後半、特にレイヤーの実践的な使い方、そしてプロとしてどのような考え方で着彩しているかが理解できるので、非常にためになります。
まさに羊の皮を被ったオオカミ的な本です。

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