プロのイラストレーターとして独立する際に注意したいこと

プロのイラストレーター、つまり独立して個人で仕事をしていく際にい注意したいことを書きたいと思います。

今現在、ゲーム会社やアニメ会社、デザイン会社で働いている人たちがイラストレーターとして個人でやっていきたいと思う人もいるかと思います。

アニメーターなどはもともと個人で仕事をしている人が多ですけど、やはり同じ個人事業主のくくりになますので、覚えておいて損はないと思います。

イラストレーターとして独立する際に困ること第一位は

まず、イラストレーターとして独立しようとすると一番の悩みはもちろん生活費のことですね。
イラストレーターとして生きていくには最低限生活費は稼がないと仕事として成り立たないということになってしまいます。

しかし、イラストレーターとして独立するのは意外と準備するお金、いわゆる事業資金はそんなに必要ありません。
今まで使ってきたパソコンで十分仕事としてやっていける人が大半です。
初期投資があまり必要がなく最初に仕事さえうまく見つかればやっていける職業でもあります。

ただ、それでも当面の生活資金は準備して独立することをお勧めします。
最低でも3ヶ月はないとギャラが入るまでのタイムラグが発生するので資金繰りが厳しいと思います。

資金繰りについて

独立して仕事をしていくには資金繰り、つまりお金の流れを考えなくてはいけません。
例えば今月仕事をして20万円稼いだとしても、それがすぐに自分の銀行口座に振り込まれるわけではありません。
翌月払い、もしくは翌々月払いになる可能性もあります。
それだと今月分と来月分の2ヶ月はお金がないと生活していくことが出来なくなるわけです。

まず、仕事を受ける際には支払いがいつになるのかを確認しましょう。
出来れば前払いで受け取るのが一番です。まあ、それは難しいと思いますので出来るだけ早くギャラが振り込まれるようクライアントと交渉するのも一つの手です。

契約書について

仕事を受ける際には契約書を交わすことが多くあります。
いわゆる業務委託契約書というやつです。
この契約書には受ける仕事の内容からギャラの支払い、著作権等の扱いによる記載があります。
契約書は基本的に企業有利に出来ていることが多いのでしっかり確認して納得できないところは話し合いましょう。

特に著作権に関しては著作財産権はどうなるのか、著作者人格権はどうなるのかしっかりと確認しておきたいところです。
これを疎かにしていると自分の作品でさえ自由に使うことが出来なくなります。

時間管理について

会社を辞めて独立する際は自分で自分の生活を管理をしていかなくてはなりません。
今までは良くも悪くも上司が仕事の工数を管理していたと思います。
しかし、イラストレーターとして独立した際は自分で自分の作業量を管理していかなくてはなりません。
自分の仕事は一日どの程度こなせるのか、そのギャラで仕事量に見合っているのか、しっかりと考えていかなければ生活費が足りないなんてことになりかねません。
ここはしっかりとプロの個人事業主として考えていきたいところです。

営業について

会社に勤めていた頃は、仕事がたくさんあり何でこんなにあるんだ!と思ってしまうほどあります。
しかしそれは会社の中に営業を担当する人がいて仕事を取ってきているから仕事があるんですね。
イラストレーターとして独立したなら営業は全て自分自身で行わなければならなくなります。
ただ、絵を描いていれば良いと思っているととんでもない勘違いということになりますので、営業の仕方についても学んでいく必要があるでしょう。
基本的な営業では
まずは自分の作品集であるポートフォリオを作成し、会社に売り込んでいく。
コンテストに応募して受賞歴を増やしたりそこで仕事をゲットする。
pixivなどのSNSやブログを書いたりして発表していく。
などの方法があります。

税金について

イラストレーターとして独立したら税金について考えていかなければなりません。
もちろん会社員時代も税金を払っていたと思いますが、あまり意識していなかったと思います。
なんとなくこのくらい引かれるだろうぐらいな意識になりがちですが、それは今まで会社がやってくれていたこと。
個人でやっていく以上、それではいけません。

まずはどんな種類の税金があるか確認しましょう。

源泉所得税(源泉徴収)

所得税は自分の利益に対してかかる税金のことです。
源泉徴収は依頼する企業がイラストレーター個人に代わって税金を差し引いて納税します。
依頼を受けた報酬から100万円以下なら10.21%、100万円越えなら20.42%差し引かれることになります。

1年間のすべての所得と、源泉徴収された源泉所得税の間では差額が発生します。
確定申告をすることにより、その差額が調整されます。
1年間の総所得に対して収めた源泉所得税のほうが多ければ「還付金」として返ってきます。

個人事業税

個人事業税は地方に収める地方税です。
確定申告をしておけば都道府県税事務所から納付通知書が届きます。

個人事業税の計算式
課税所得金額=総収入金額-必要経費-各種控除等-事業主控除等290万円
必要経費は電気代などの光熱費やパソコンなどの機材、プリンターのインクなどの消耗品などになります。

消費税

イラストレーターとして仕事をする際にイラストの原稿料と消費税を請求します。
会社によっては払わないところもありますが…
基本的に開業して2年間は消費税の支払い義務はありません、免税事業者となります。

また年収1000万円以下でも消費税の納付義務はありません。
ただし、平成25年1月1日以降、基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、
特定期間の課税売上高が1000万円を超えた場合には課税事業者になります。

住民税

1月1日に自分が住んでいる市町村に対して支払う税金のことです。
自ら自治体に納める普通徴収と会社が従業員に代わって納める特別徴収があります。
会社を退職する際にはどちらかを選んで納付することになります。

普通徴収を選択した場合(何も手続きしなければこれになります)市区町村の役場から納付書が送られてきます。
年4回6月8月10月1月に分けて納付します。
また、一括徴収も可能です。
会社で納める特別徴収の場合には会社の担当者と相談して最後の給与で一括天引き出来ます。
退職時期によって徴収方法が異なるので注意が必要です。

1月から4月に退職
退職した月から5月までを一括天引き出来ます。

5月に退職
1か月分の天引きになります。

6月から12月に退職
退職月から翌年の5月までを一括徴収出来ます。

その他の出費

国民健康保険

健康保険は選ぶことが出来ますが、国民健康保険は個人事業主として独立した際には真っ先に思い浮かぶ健康保険です。
これを選択すると住んでいる各市町村の国民健康保険に加入することになります。
ちなみに会社員であれば保険料の半分を会社が支払っています。

この健康保険料は前年度の収入に応じて保険料が増減するので独立したては大変になるので貯金を多めにしておくことをお勧めします。

文芸美術国民健康保険

また、文芸美術国民健康保険という国民健康保険組合があります。略称は「文美国保」

フリーランスのイラストレーターや漫画家、アニメーターや芸術家などが対象。
同業者が集まって作った組合が運営しています。
これは組合員の収入が多かろうが少なかろうが保険料が均等なので、高い報酬を得ている人なら検討してみる価値があります。

これを検討するには各団体の会員になる必要があります。

加盟団体一覧表
平成29年度の文芸美術国民健康保険の保険料

組合員 1人月額 19600円
家族 1人月額 10300円

介護保険料
(満40歳から64歳までの被保険者
1人月額 4000円

支払いは口座振り込みになります。

国民年金

今まで会社員として働いてきたならばイラストレーターとして独立した場合個人事業主となります。

年金は厚生年金から国民年金に切り替えとなります。
ただし、厚生年金は国民年金の上乗せ、いわゆる2階建てなので厚生年金のほうが老後受け取れる金額は多くなります。
国民年金は1階部分となり基礎年金となります。

国民年金は老後や障害死亡などにより基礎年金を受けることが出来ます。
第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者があり、個人事業主であるイラストレーターは第1号被保険者になります。

平成28年の国民年金の保険料は全員一律で一月16490円です。
これらも生活費と他に稼がなくてはいけなくなります。

ただ、保険料を納めることが経済的に困難な場合には保険料免除や納付猶予などがあります。
最寄りの市役所に相談に行きましょう。

生活リズムについて

会社員時代だとみんな一律に会社に出社して作業することが多いと思います。

まあ、一部企業などは出社時間をある程度決められるフレックスタイムを導入している企業もありますが。
会社員時代だと朝早く起きて通勤電車に揺られて頑張って出社していたと思いますが、イラストレーターとして独立した場合、全部自分で管理しなくてはいけません。

いつまでも寝ていることもできるし、朝早く起きて作業することだって出来てしまいます。
最初はやる気があり、生活リズムを頑張って整えようとしますが、油断してしまうと夜更かしなどで生活リズムを崩すことになっていくこともあります。

生活リズムが狂うと生活習慣病になりやすくなったり、睡眠障害になったりとあまりよろしくないことが起こるので、生活リズムが狂わないよう注意していかなくてはなりません。

とにかく預貯金を多めにして独立しよう

独立するならまずは預貯金を多めにして独立しましょう。

本当に基本中の基本ですが、お金がないと生活していくことが出来ません。
まずは独立したいならしっかりと貯金しておかなければなりません。

出来れば生活費の半年以上は欲しいところです。
生活費に余裕がないとやりたくもない仕事も選んでいられなくなります。
そにため、生活費を多めに計算しておくと良いです。
それに前項にも書きましたが、会社を辞めた直後は前年の所得に課税される住民税や国民健康保険の支払いがかなりの額になります。
やはりここも見積もっておかなければ大変なことになってしまいます。

幸いイラストレーターは飲食業など他の職種に比べて開業資金が多く必要にはなりません。
しかし、仕事を受けることができる人脈は必要になります。
会社員時代からしっかりと人脈を構築しておくことをお勧めします。

次項はなるべく生活費のコストをかけない工夫を書きます。

生活費のコストをかけない工夫、またはセーフティの方法

固定費をなるべく削る
支払いを早く受ける
複数の仕事先を確保していく

固定費をなるべく削る

イラストレーターとして活動していくにはいろいろと費用がかかります。
この費用は大きく分けて固定費変動費に分けられます。
お金に困らないようにするにはこの固定費の部分をいかに小さくできるかが勝負になります。

固定費とはいわゆる毎月支払わなければならない費用のことです。
例えば家賃であったり、携帯の毎月の基本料であったり、ガス電気代の基本料金であったりします。
事務所を借りていればその事務所の家賃が固定費となってしまいます。
これらは期日が来たら確実に支払わなけらならない費用です。

ですのでお金に困ることになった場合、真っ先に困るお金となってしまうのです。
出来るならここをいかに削れるのかを考えましょう。

例えば
家賃をギリギリまで安いところに引っ越す。
出来れば実家で作業をするなど、いきなり高価なマンションなんかでやり始めたり下手に高額な事務所を借りるとお金に困った時恐ろしいことになります。

対して変動費というのは、毎回変動する費用のことです。

例えば電気代、基本料金は固定費ですが使えば使っただけ増えていくのが変動費です。
これらはお金に苦しくなったら真っ先に自由にコントロールできるのであまり恐ろしくはありません。

ですので、イラストレーターとして独立するには真っ先に固定費を削ってみてください。

支払いを早く受ける

お金に困った時真っ先にあてにするのが仕事での報酬でしょう。
それ以外に収入がないならなおさらです。
その支払いが1ヶ月先、ましてや2ヶ月先だと家賃などの固定費の支払いに困ってしまいます。
ですので、仕事を受ける際にはいつ支払われるのかをシビアに管理し、なるべくなら早く支払いを受けられるよう交渉すべきなのです。

複数の仕事先を確保しておく

自分の収入を一箇所に集中してしまうとその仕事先を失った場合、大きな痛手になってしまいます。また、一箇所に依存してしまうと足元を見られ、不利な価格交渉を受けたり不利な契約で仕事をせざるおえなくなります。
最悪倒産なんてしたら報酬が支払われないなんてことになったり…
考えただけでも恐ろしいですね。

そうならないよう、仕事先はなるべく分散しておくよう心がけましょう。
そうすれば一つがダメになってもほかの収入源が保たれますので一気に生活に困ることが少なくなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
独立する際にやっぱり一番に考えるのが生活をしていくことです。
そのためにまさかの時が来ても耐えられるよういろいろと考えておかなければならないことはたくさんあります。

なるべく固定費を抑えて仕事が軌道にのるまでは贅沢は控えるのが鉄則でしょう。
しかし、ある程度自由に仕事が出来るのが独立の道です。
そのために頑張る価値はあるので、しっかり地に足をつけて仕事をゲットしていってください。

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